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有名小学校校長先生による 強育シンポジウム 採録

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有名小学校校長先生による 強育シンポジウム 採録

オープニングスピーチ

「子どもたちにこれから求められる力とエコール・ドゥ・アンファンの取り組み」

まずは、エコール・ドゥ・アンファンでの取り組みについてお話ししたいと思います。
先週も子どもたちは、「アウトドアクッキング」で旭高原元気村へ出かけ、知らない子と一緒に料理をするという体験をしました。また夏には「パワートライ」と称しまして、富士山山麓で一泊二日をお父様・お母様と離れて過ごしました。このような経験をした子どもたちは、小学校入学後も活発に勉強にも取り組み、他のお友達と楽しく過ごすことができるというのは実証されています。

またエコール・ドゥ・アンファンでは、「東大理Ⅲ脳プロジェクト」として、東大の学生55人と共に取り組むプロジェクトを実践しています。現役の東大医学部生に幼児期・小学校低学年にどんな勉強をしてどのように過ごしたか、さらにどのようなことをやっていればもっと良かったと思うかなどを聞き、それらを実践しております。もちろん東大生のお母様による教育論にも素晴らしいものはありますが、教育制度はどんどん変わっているのですから、今の学生に聞くのが一番です。楽しく学び、小学校3年生までに東大理Ⅲに合格するような頭をつくっていくことがプロジェクトのねらいです。たとえば、積木、また絵本を読むだけでなく、親子で絵本をつくること、それによって物語を作る創造力、またそれを話し、コミュニケーション力が養われます。

これから求められる力は、知識・暗記ではなく、知識を理解し、活用し、表現する力です。東大入試でも、明らかに暗記型学力の受験生は不利だという結果が出ています。単に知識を答えるのではなく、なぜその解答に至ったかを説明する問題になっているわけです。

またどの教科にもまずは国語力が必要だといえます。数学でも、いわゆる「数学的国語力」が大切です。英語にしても話せるよりも読んで理解し、いかに自分のものにするかが求められます。記述で答える問題も制限字数が少ないものがあり、そこではまとめる力、表現力が問われているのであり、やはり国語力が必須だといえます。

論語に「知好楽」という言葉があります。その勉強を好きだ、楽しいと思える人こそがそれを極めることができるという意味ですが、先日開講した「東大理Ⅲ脳プロジェクト」はまさにそれを物語るものでした。小学校低学年の子が、最難関の灘中学校の入試問題を解き、今年6年生として卒塾した子は東大理系の二次試験の問題を解いてしまうのです。みな問題を解くのが楽しくてしかたがない、一泊二日ではなくもっと続けたいと言っていました。このように楽しんで興味を持って取り組むことができれば、本人たちも驚くような結果が出せるのです。そのような子どもたちは、小学校入学後もリーダーシップをとり、積極的に勉強に取り組めます。中学受験の時もそれほど勉強しなくても希望の中学校に合格していきます。

現在は、ハチマキを巻いて長時間勉強しなければいけない時代ではありません。今年度の中学入試問題出題傾向において「開成ショック」という言葉がありましたが、中学受験においても、問題は変わってきています。効率的に自ら学ぶ姿勢をとることが大切だといえます。

小学校受験を考えられるご父兄の方、小学校受験はけっして特殊なものではありません。うわさに右往左往されないように、アンファンでは、こうして小学校の先生方から直接お話をいただく機会を設けています。お父さん、お母さん、お子さんが楽しく普通の生活をすること――それが大切です。小学校受験はよく親の受験といわれますが、親が「辛い」と思う時は、「辛い」という漢字に一本横棒を足せば「幸せ」という字になるということを思いおこしてほしいと思います。エコール・ドゥ・アンファンは、その一本の横棒になれるように、お父様・お母様に寄り添っていきたいと考えています。

小学校合格はアンファンに通うだけで十分です。運動の問題が出るからといってスポーツ教室に通ったり、絵が出るからと言って絵画教室に通ったりする必要はありません。むしろ逆効果です。そのような時間は、親子・家族が楽しく過ごす時間にしていただきたいと思います。

エコール・ドゥ・アンファン理事長 安田 龍男より オープニングスピーチ

エコール・ドゥ・アンファン理事長 安田 龍男より オープニングスピーチ

パネルディスカッション

「教育理念と目指す児童像について」

(以下敬称を省略させていただきます。)

安田:まずは各小学校の先生方から、教育理念と目指す児童像についてお話しいただきたいと思います。

西脇:(南山小学校生の1日の生活を収めたスライドを見ながら)今年度は南山小学校創立10周年の喜ばしい年であり、558名で今年度も素晴らしいスタートを切ることができました。先日も児童会の選挙演説が行われ、多くの子どもたちが立候補し、選挙演説を繰り広げていましたが、みな「南山小学校が好き」「みんなの役に立ちたい」ということを真剣に語り、またそれに耳を傾けており、大変うれしく思いました。新1年生は最初ご家族とともに登下校、ゆっくりと慣れていきます。しばらくすると新2年生に連れられて学校探検をするイベントもあり、みんな楽しみにしています。
南山小学校では、「人間の尊厳のために」という教育理念のもと、キリスト教人間観に基づく人間教育を行っています。この世の中の全ては善いものです。全ては神様に無償で愛されているかけがえのない存在なのです。自分が深く愛されているのと同じように、相手もそうであると認め、お互い尊重しあい助け合える人材を世の中に送りだしていく――どんなに波風がたとうと、校訓と宗教教育の基本精神のもと、お預かりした一人一人を大切に育てていこうという思いで、教職員一同取り組んでおります。

森田:名進研小学校は、塾が母体の学校なのでいわゆる「進学予備校」ではないかというイメージをお持ちの方がいらっしゃいますが、勉強だけというのであれば我々は小学校をつくったりはしていません。ただ日本の学力低下問題に警鐘を鳴らすというコンセプトもあるので、もちろん勉強はたくさんしていただきます。
名進研小学校は「自律と感謝の気持ちで社会に貢献する人間教育の追及」を教育理念としています。昔は「なぜ勉強するの?」という問いに対して、「将来、あなたが豊かな生活をできるようにするため」という答えでしたが、現在は「将来、あなたが誰かの役に立つ人になるため、つまり社会に貢献する人物になるため」と変わってきています。そして、その前提となるものが「自律と感謝」であると考えます。
「感謝」とは人から何かされたとき、素直に「ありがとう」と思える気持ちです。「自律」とは、自分で考え、自分で判断し、自分で行動できることです。AI(人工知能)が進化した今後の社会で大切なのが、この「自律」であるといえます。
名進研小学校では、この教育理念のもと「学ぶ楽しさと大切さを感じ、叡智と品格を兼ね備えた児童」「他利の精神で人の役に立つ喜びを感じ、主体的に考え、行動できる児童」「心技体を大切にし、自律した明るくたくましい児童」の育成を目指しています。

森:我が校の校訓は「人間になろう」です。ここでいう人間とは「ひとを大切にできる人間、ひとと支えあえる人間、自らがんばれる人間」のことです。椙山小学校の生徒の約半数は、椙山女学園大学に進学していることになります。113年の歴史と伝統に培われた女子教育のもと、社会で活躍できる女性を育成、校訓「強く明るく美しく」の具現化を目指していきます。
今後日本社会は超人口減少社会となっていきます。そこで女性の活躍は不可欠であり、女子だけで何もかも行う経験というのは非常に重要となります。社会で活躍するために必要な資質能力とは、自分の頭で考えて自分の言葉で表現できる力だと考えます。

 

「大学入試改革に伴う対応ついて」

安田:有難うございました。次に各小学校の「大学入試改革に伴う対応」についてお話しいただきたいと思います。

西脇:社会が変われば教育も変わります。グローバル化・産業構造の変化などの社会変動により、文科省でも「生きる力」を育む教育改革が提唱されてきました。「生きる力」とは、①「豊かな人間性」②「健康・体力」③「確かな学力」のことです。そしてさらに、その「学力」の3要素として①「基礎的な知識及び技能」②「①を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力」③「主体的に学習に取り組む態度」が挙げられます。こうした力は社会に出てからも必要なものであり、それを実現するために、大学の入試制度も大きく変わっていくことになります。
南山小学校は戦前の設立ですが、そのころから児童中心の教育を行ってまいりました。「どの児童にも隠れた宝玉のような独創性や眠った能力が潜んでいます。この児童一人 一人の独創性を見つけ能力を呼び醒まし、それに基づく彼らの自発的な活動を中心として、新しいものの発見、未知の世界への探求へと導くような教育を致します。教え込む教育ではなくて学ばせる教育、児童自ら観察し、実験し、比較し、思考して、自ら帰結に達し、原理を発見するように仕向ける教育なのであります。」と、旧南山小学校の案内にも明記されています。

森田:ここでは特に「主体的に学習に取り組む態度」についてお話したいと思います。実は「主体的に学習に取り組む態度」とはいうものは非常に難しいのです。まず今まで「知識をいかにうまく子どもに伝えるか」を重要視していた教員が従来型の授業スタイルをなかなか変えられないという点です。もう一つは、主体的・能動的に勉強を進めるといっても、そのためのノウハウが子どもたちにない、つまり何をしてよいかわからない、という点です。そこで、名進研小学校では、次のような取り組みを実践しています。
一つは、ラーニングスキルを身に着けるための、独自教科『礎』です。これは、学習スキルを身に着けるために特化した教科で、グループワークの進め方、考えを整理する方法など、いわゆる職場でのビジネス研修で取り組むような内容も学びます。もう一つは、あえて教員を前に立たせない、子どもが授業をする、『子ども司会』という授業を取り入れています。また、名進研小学校では、中学受験のための対策は避けて通れないわけですが、中学受験の勉強は活用力を高めるには最適といえます。現に今年度の東海中学校の社会の問題でも「第6次産業」の言葉の意味だけでなく、林業の立場でそれを活用する問題が出題されています。

森:日本の教育が世界に取り残されているのではないか、ということから始まった大学入試改革、従来の知識重視型ではなくて、自分の頭で考え、自分の言葉で表現することが大切とはいえ、教員の方が従来のやり方を変えることができないとともに、たくさんの受験生をどう評価するのか、いわゆる客観性の担保が大きな課題となります。
思考力を養うという点では、椙山小学校では、理論的に確立した充実したプログラミング教育を行っています。試行錯誤し、それを言語化すること、順序を考えることなど具体的に力を強化していきます。
また表現力を養うという点では、毎日の日記指導に力を入れています。毎日日記を書き、先生は毎日それを添削する――大変ではありますが、それを重要視し、実践していることこそが我が校の強みだと思っております。

南山小学校校長 西脇 良 先生

南山小学校校長 西脇 良 先生

 

「どんな保護者の方が望まれるのか」

安田:有難うございました。各小学校が大学入試改革に対して、具体的に様々な対応をしていることがおわかりいただけたかと思います。さて「親を見れば子がわかる」という言葉もありますが、次は、どんな保護者の方が望まれるのかを各小学校の先生方にお話しいただきたいと思います。

西脇:南山小学校では、子どもの教育のために学習面・生活面で小学校と連携できる方、子どもを育てていくなかで自らも成長していこうとする姿勢をお持ちの方、保護者同士の関係を良好にすすめることができる方を望んでおります。「子育てについて一緒に考えていきましょう」という姿勢を大切にしていますので、安心して悩みを分かちあっていきましょう。

森田:ここでは、とくに「自律」という観点からお話したいと思います。子どもの自律を妨げないように、親離れできない子は子離れできない親がつくると言っても過言ではありません。お母様方は「ヘリコプターペアレント」になっていないでしょうか。ヘリコプターペアレントとは、いつも子どもの周りを付きまとい、子どもを観察・管理・干渉する過保護な親のことです。何かトラブルが発生すると、急降下するかの如く介入してきます。ヘリコプターペアレントの特徴としては、子どもが失敗しないように先回りしたり、子どもが頼る前に助けたりします。子どもの力を信用しておらず、子どもを自分の所有物だ、自分がいないとこの子はダメなんだと思いこんでいます。そして、子ども以外の人生の楽しみを持っていません。このような親だと、子どもは、精神状態が安定せず、すぐ不安になったり、人間関係をうまく構築することもできません。人より得意なことも少なく、自分で判断すること、自分の生活リズムを管理することができなくなったりします。自律した子どもに育てるためにも、ヘリコプターペアレントになってはいけません。

森:しつけのスタイルには、2通りあるといえます。1つは、「共有型しつけスタイル」、もう1つは「強制型しつけスタイル」です。実はこの2つのスタイルの違いによって、「語彙力」に大きな差が出ることが明らかになっています。考える力の素地となる語彙力は非常に大切なものですが、既存の価値観での「あるべき論」に縛られてしまうと「強制型しつけスタイル」になってしまい、子どもの学力向上を阻んでしまうことになります。子どもに考える余地を奪ってしまっては、子どもの考える力は育ちません。

名進研小学校校長 森田 圭介 先生

名進研小学校校長 森田 圭介 先生

 

「どんな子どもが望まれるのか」

安田:なるほど、有難うございました。たしかに小学校受験でも、子どもは頑張っているのに、保護者が不合格になってしまうケースも見られます。親としてどうあるべきか、しっかりと考えていかなければなりません。それでは次に、小学校ではどんな子どもが望まれるかについてお願いいたします。

西脇:南山小学校では、まず「手を合わせて祈ることを大切にできる子」です。手を合わせるというのは、神様にお祈りするということだけでなく、手を合わせて自分を見つめるという意味があります。お祈りの時間には、子どもと同じように教師も手を合わせます。認めたくない自分の姿もしっかりと受け止め、より良くしていこうという気持ちを持つことが大切なのです。次に「何事にも意欲的に取り組むことができる子」です。とくに自分の身の周りの整理整頓が大切です。目に見えるものの整理整頓が、頭の中の整理整頓につながっていきます。そして「友だちに優しくできる子」、これは親の人間観そのものといえます。ここでの優しさとは、自分を犠牲にしてでも相手のために何かしてあげることができるという意味です。

森田:私はとくに幼児期に大切にしてほしいことを述べさせていただきます。
まずは、挨拶、お手伝い、善悪のけじめ、友だちと仲良く遊ぶなど、生活習慣や協調性を身に着けることです。そして、話をしっかり聞くことができ表現できることです。学力が伸びやすい子はどんな子か、という質問をよく受けますが、やはり「話をしっかり聞ける」ということは非常に重要です。ではどういう子がしっかり聞けるのかといえば、自分の話をしっかり聞いてもらえる子です。ご両親は「ながら」ではなく、「子どもの目を見てしっかりとお子さまの話を聞いてあげてください。
先ほどの安田理事長のお話にもありましたが、学習の動機づけの一番は「好奇心」です。ですから、好奇心を刺激する機会を親としては意識して与えていくべきでしょう。いろいろなものを実際に見る・体験することは、とても大切です。また「四季を感じること」も大切です。真の国際人とは自国に誇りを持てる人間のことです。日本の四季の移り変わり、その中での伝統行事の意味など十分に味わってほしいと思います。

森:自分の頭で考え、自分の言葉で表現できること、人と支え合えることが大切です。これは今後の学び方の基盤となります。どのように学ぶか、それは「主体的・対話的で深い学び」ということです。では「深い学び」とは何か、それを支えるのが共通、相違、因果関係など「関係付ける」能力です。 もう一つ、「へこたれない力」を持ってほしいです。失敗をどのように克服していくのか、この「へこたれない力」を身に着けるには、親がまずしっかり褒めること、そしてきちんと叱ることが重要です。

椙山小学校校長 森 和久 先生

椙山小学校校長 森 和久 先生

 

「参加者へのメッセージ」

安田:有難うございました。それでは最後に本日ご参加いただいた方々に、各小学校の先生方よりメッセージをお願いいたします。

西脇:他の小学校の先生方のお話を伺って、非常に共通点が多いということを思いました。南山小学校では、学校と家庭との教育連携を考えております。学習も生活も地続き、学校も家庭も地続きです。南山小学校は、お子さまにとっての「人生の礎」となる小学校でありたいと思っております。

森田:受験は子どもの年齢が低いほど、親の負担は大きいです。小学校の受験は親の受験といわれます。しかし受験だからといってこういう子に育てなければいけないということではない、受験を楽しむとまではいかなくても、特別なものではなく、この子が立派に大きくなって世の中で活躍してほしいという思いで子育てをされることこそ、受験につながっていくという気持ちでいられることが大切だと思います。

森:子育ての悩みは多いと思いますが、この「今」は本当に楽しい時です。大切にしてください。小さいお子さんに受験という負担をかけるという気はありません。普段の皆さんの子育てで十分です。本校は、学級経営に長けた人間力豊かな教師がそろっています。安心して相談していただければと思います。

参加者へのメッセージ

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